宗教と信仰2

Religion 2

この世界の人類の大半が信仰している宗教には、○○教といった名前がありません。信者数が多く、他を意識することがほとんどないのがその理由です。宗派によって多少の教義の違はありますが、用いられる聖典は共通しています。その宗派や教義の違いを越えて聖職者たちを統括しているのが、聖都に位置する聖導庁です。聖導庁は各国に散らばる聖職者を管理し、教育から祭司の任命、その他仕事の斡旋、収益の回収、給与の再配分などを一手に引き受けています。

この世界の僧侶たちは国家に属する国民ではなく、納税の義務も選挙権も持っていません。その代わり、聖導庁によって身分を保障されています。戸籍がないので結婚もできません。人々にとって出家とは、まさに人生を捨てるのと同じ意味なのです。それでも人類には一定確率で神の声を聞く者が出現し、彼らは自ら進んで聖職者の道を選ぶといいます。彼らの胸の内を一般人が知ることはないでしょう。

はるか極東の国ではまったく異なる宗教が信仰されていますが、それぞれの信者がお互いの信仰を否定することはありません。なぜなら、どの宗教でも僧侶系魔法の及ぼす効果は同じであり、その信奉する「神」が結局は同じ存在であることを、人々は事実として知っているからです。

一方で、明らかに神とは異なる存在を信奉する集団も存在します。彼らはかつてこの世界を破滅に追い込んだ異界の魔神を信仰し、再び大破壊が起こることを望んで暗躍しています。このような人々は悪魔崇拝者と呼ばれ、聖導庁や国家から厳しく弾圧されています。